~大手だけが生き残る未来、その先に待つ介護の現実~
こんにちは、「ゴーヤの知恵畑」のゴーヤ先生です。
今回は、2025年以降に続く【最低賃金の引き上げ】が、介護施設にどんな影響を与えるのかを、現場目線で分かりやすく解説します。
最低賃金が上がるのはなぜ?
政府は物価高騰や経済成長に対応するため、全国の最低賃金を段階的に引き上げる方針を掲げています。
2025年の現在、東京や大阪では時給1,100円を超え、今後は全国平均で1,200円を目指す動きも。
これは労働者にとっては嬉しいニュースですが、介護業界にとっては大きな転換点になります。
介護施設の財源構造とは?
介護施設の主な収入は、「介護報酬(保険)+利用者の自己負担」です。
財源の内訳 | 内容 |
---|---|
介護報酬 | 国と自治体が支払う保険料(原資は税金と保険料) |
利用者負担 | 原則1割~3割(収入や資産に応じて変化) |
しかしこの介護報酬はすぐには上がらず、3年に一度の改定。
最低賃金が上がっても、その分がすぐに施設に反映されるわけではありません。
【デメリット】最低賃金上昇が小規模事業者を直撃!
1. 人件費が経営を圧迫
介護業界は人件費の比率が高く、6割以上を占めます。
最低賃金が100円上がるだけでも、スタッフ1人あたり月1万円以上の人件費増に。
10人いれば月10万円以上。年間120万円の負担です。
中小規模の施設では、これを吸収する余力がないところも多く、赤字化・倒産のリスクが高まります。
2. サービスの質の低下
資金に余裕がないと、研修や設備投資も難しくなります。
結果として、
- 経験の浅い人材の現場投入
- 夜勤の人員削減
- レクリエーションの簡素化
といった、質の低下が避けられません。
3. 人材確保が大手に集中
最低賃金が上がる中、福利厚生や待遇を良くできるのは大手のみ。
結果として優秀な人材が大手に集中し、中小は人手不足に。
この格差はますます広がっていきます。
【メリット】制度の見直しや職場改善のチャンスも
ただし、最低賃金の上昇がすべて悪ではありません。
1. 離職率の低下に期待
これまで介護職は「給料が低い」と敬遠されてきました。
賃金上昇によって待遇が改善されれば、人材定着率の向上や若い世代の参入が期待できます。
2. テクノロジー導入の後押しに
人件費が増えることで、ICTや介護ロボットの導入が進む可能性も。
中長期的には業務効率が上がり、スタッフの負担が減ることに繋がります。
大手だけが生き残った未来に起こること
もし小規模事業者が淘汰され、大手施設のみが生き残ったとしたら……?
■ 選択肢の減少
地域密着型の施設が消え、入所できる施設の数が大幅に減ります。
■ 利用料の上昇
大手はサービスが充実している分、費用も高め。
低所得世帯は利用しづらくなる可能性が高いです。
■ 自宅介護が増加
結果として、家族による在宅介護が急増。
共働き世帯では介護離職などの問題も拡大しかねません。
🟢 ゴーヤ先生の豆知識
「介護離職」は、毎年約10万人前後。
その多くが女性で、40〜50代の働き盛りに多く見られるんじゃ。
介護施設の“格差”が広がれば、この数字もさらに増えるかもしれんのう。
今後必要なのは?
最低賃金の上昇が現実となる今、私たちに求められるのは…
- 利用者負担が重くならない介護報酬制度の見直し
- 地域で小規模施設を支える支援体制
- 介護現場へのIT投資や業務の効率化支援
- 家族介護者へのサポート体制の拡充
特に、制度面の整備と支援金の活用がカギになります。
まとめ
最低賃金の上昇は、介護業界にとって諸刃の剣。
現場のスタッフの待遇改善につながる一方で、制度が追いつかないと地域の介護インフラが壊れてしまう可能性があります。
だからこそ、「誰でも安心して介護を受けられる未来」のためには、バランスの取れた制度設計と支援策の拡充が不可欠です。
今、私たちにできることは、
こうした課題に「気づき」、
「声を上げる」ことから始まります。
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